背骨に呼吸を通す

お困りの症状として、最近は風邪の相談がとても多い。

どうやらインフルエンザも流行しているらしい。

 

風邪の最中の過ごし方として、整体では「体を冷やさない」「食べ過ぎない」「目を休ませる」を大事にしている。

生姜湯など体を温めて汗をかきやすくするものを飲むこと、腎系を働かせて体温を上げるために普段より攻め込むように足湯をすること、そして蒸しタオルで目を温めて頭を休め、胸郭を開かせることをよくお勧めする。

「ご自身でも何かされるんですか?」と聞かれたので、

『風邪を引いた時は背骨に呼吸を通します』

と答えたら怪訝な顔をされた。

当然だ。一般的な感覚では背骨に呼吸なんて通りっこないし、そもそもイメージが湧かない。

 

ただ、理屈としてはこうだ。

背骨から神経が出ており、骨の動きが悪くなると神経を圧迫し、体の形も崩れ、内臓の働きにも影響する。

逆に言えば、骨が動いてしまえば回復の方向に向かう。

手が空いていれば自分で調整すればいいが、施術中はそうもいかない。

だから整体には「脊椎行気法」という、自分の呼吸で背骨を動かしていく方法がある。

 

頭のてっぺんから仙骨まで、一本の管が通っているように吸う。

椎骨の中心に穴が空いていて、そこに呼吸が「ぐ〜〜っ」と流れ込むようなつもりで吸う。

もちろん、実際に空気が通るわけではない。ただ、そのように呼吸をするだけでいい。

呼吸が通りはじめると、背骨が「パキッ」と動くこともある。吐く呼吸は意識しなくていい。

 

かの横山大観も、まっすぐな線が書けなくなった時に呼吸を通すと

「真っ直ぐな線がかけるようになりますな」と言ったそうだ。

呼吸が背骨に通ることで、風邪の回復が早まるだけでなく、人間としての芯が整ってくる。

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