桑谷整体の桑谷です。
施術の中で「体癖」という言葉をときどき使うのですが、
「先生、その体癖って何なんですか?」
「性格占いみたいなものですか?」
と聞かれることが増えてきたので、一度まとめておきます。
難しい理論の話ではなく、「自分のからだのクセを知るためのヒント」として読んでください。
体癖とは何か
体癖をひと言でいうと、
からだの使い方・感じ方・考え方の「クセのパターン」
です。
・同じ姿勢をしていても、疲れやすい場所が人によって違う
・同じ出来事でも、すぐ動く人と、じっくり考えてから動く人がいる
・「ここがつらい」と言う場所が、その人ごとに偏る
こういった違いを、「その人のバランスの取り方のクセ」としてまとめたものが体癖です。
「良い・悪い」を決めるためのものではなく、その人が一番動きやすいパターンを知るためのものです。
性格診断ではなく「からだの設計図」に近い
体癖の話をすると、よく
「じゃあ私は何タイプですか?」
「それって性格の占いみたいなものですか?」
と言われます。
性格にも確かに傾向は出ますが、元になっているのはあくまで「からだの方向性」です。
・どちらに重心をかけやすいか
・どこが硬くなりやすいか
・どこに負担を溜め込みやすいか
こういった土台の違いが、結果として「考え方のクセ」にまでにじみ出てくる、というイメージです。
ですから、体癖は「性格を決めつけるもの」ではなく、
・自分のからだの扱い方の説明書
・疲れやすいパターンの注意書き
くらいに思ってもらうとちょうどいいです。
体癖は大きく6グループに分かれる
体癖は細かく見ると12種類に分かれますが、ここでは分かりやすいように「6つのグループ」でかなりざっくり説明します。
1. 上下型(1・2種)
上か下か、「タテの動き」でバランスを取るタイプです。
・気が上にのぼりやすい
・考え始めると一気に集中する
・足の冷えや、頭ののぼせが出やすい
仕事モードに入ると一気に頑張れる反面、オフに切り替えるのが下手な方が多いです。
2. 左右型(3・4種)
「人との距離感」や「右と左のバランス」に敏感なタイプ。
・人の気分や空気の変化をよく感じる
・肩こりが右だけ/左だけと偏って出やすい
・人間関係で疲れやすい
気配りがきく反面、自分より相手を優先してしまいがちです。
3. 前後型(5・6種)
前に出るか、引くか。「前後の動き」で調整するタイプです。
・腰・背中・胃腸に負担が出やすい
・「やる時はやる」が、溜め込むとどっと崩れる
・人の期待に応えようとして無理をしやすい
一歩引いて全体を見る力がある一方で、「自分の本音」を後ろに引っ込めやすい傾向があります。
4. 捻れ型(7・8種)
体をひねったり、ねじる動きが得意なタイプ。
・背骨や肋骨まわりがよく動く
・ひねりの動きでバランスを取る
・ストレスがたまると、ため息やぼやきになりやすい
心と体の両方で、「どこかでひとひねり」して受け止めようとするクセがあります。
5. 開閉型(9・10種)
「開く/閉じる」で調整するタイプ。
骨盤や胸まわりの開きやすさ・閉じやすさに特徴が出ます。
・元気な時はよく動き、よくしゃべる
・疲れると一気に「閉じて」人に会いたくなくなる
・骨盤まわりの不調や、呼吸の浅さが出やすい
スイッチが入ると行動力がありますが、オフのときは徹底的に閉じたくなります。
6. 遅速型(11・12種)
「スピードの差」で世界をとらえるタイプ。
・自分のペースを崩されるのが苦手
・急かされると一気に疲れる
・逆に、波に乗るとテンポ良く動ける
自分のリズムを大事にしている人が多く、「周りに合わせて無理する」と体調を崩しやすいです。
体癖は「ひとり1種類」とは限らない
ここまで読むと、
「じゃあ私はどれですか?」
「何種って決めたほうがいいですか?」
と聞きたくなるかもしれませんが、現実のからだはそんなにきれいに分かれません。
・メインで出ているタイプ
・裏側に隠れているタイプ
・年齢や環境で変化してきた部分
などが重なり合って、「その人らしさ」になっています。
ので、
「私はこれ!」と決めつけるよりも、
「このへんの傾向が強そうだな」くらいの感覚で捉えておく方が実用的です。
体癖を知ると何が変わるのか
体癖を知るメリットは、大きく3つあります。
1. 自分を責める材料が減る
→「また同じことしてる…」ではなく、「このパターンが出てるな」と冷静に見やすくなる。
2. 無理しやすいポイントに気づける
→「このタイプだからここを頑張りすぎる」と分かると、早めにブレーキがかけやすい。
3. セルフケアの方向性が決めやすい
→足元から整えた方がいい人、胸まわりをゆるめた方がいい人、などの目安になる。
整体の現場でも、体癖が分かると
・どこから手をつけるか
・どこまで攻めすぎない方がいいか
の判断が、かなり変わってきます。
桑谷整体での体癖の使い方
僕の施術では、「体癖をあてはめること」が目的ではありません。
・立った姿・座った姿
・歩き方や、ふとした動き
・からだを触れたときの反応
こういったものを総合して、「この人はどのパターンでバランスを取ろうとしているか」を見ています。
そのうえで、
・骨盤と背骨のどこを優先して整えるか
・どの方向に抜いてあげると、一番ラクになるか
を決めていきます。
体癖の話をするのは、それが患者さん自身の「からだの理解」に役立ちそうなときだけです。
施術のたびにラベルを貼り直すようなものではなく、
「今のあなたは、こういうバランスで頑張っているみたいですよ」
という、そのときどきの解説だと思ってもらえたらいいかなと思います。
おわりに
体癖は、知れば知るほど深くなっていきますが、
日常生活で大事なのは「難しい名前を覚えること」ではありません。
・自分はどんなときに無理をしやすいか
・どこに負担をため込みやすいか
・どうするとホッとしやすいか
こういったことを知るきっかけとして、体癖の話を使ってもらえたら十分です。
施術のときに気になった方は、遠慮なく
「私ってどの体癖っぽいですか?」
と聞いてください。
からだを触れながら、その方に必要な範囲でお話しします。
自分のからだの「クセ」とうまく付き合っていくきっかけになればうれしいです。

