首がつらい人を見ていて、首だけ触っても抜けないことがある。
首が痛い。
肩が重い。
頭まで張る。
そういう時、つい首そのものをどうにかしたくなる。
もちろん、首に出ている以上、首も関係している。
ただ、首を一生懸命ほぐしても、すぐ戻る人は多い。
むしろ、触られすぎて余計に固くなる人もいる。
僕自身もそうだった。
首を触られれば触られるほどガチガチになり、呼吸まで浅くなる。
そこで思うようになった。
首は、首だけで見ても足りない。
整体では、頭部第二という調整点を見ることがある。
黒目と耳の穴を、それぞれ上へ伸ばした線が交わるあたり。
頭の左右にひとつずつある。
何か特別なツボのように聞こえるかもしれないが、触ればただの頭である。
だが、ここが妙に効くことがある。
頭部第二に軽く触れると、首や肩の力がふっと抜ける人がいる。
呼吸が深くなる。
目の力が抜ける。
頭の熱が下りる。
施術中に、ここへ指を置いた途端、急に静かになる人もいる。
人間、頭を休ませるのが本当に下手である。
この場所は、考えすぎている人にも出やすい。
頭の中が忙しい。
寝ても頭が休まらない。
気持ちが切り替わらない。
そういう人は、頭部第二のあたりが張っていることがある。
頭が張ると、首が固まる。
首が固まると、肩も抜けない。
肩が抜けないと、呼吸まで浅くなる。
だから、首こりや肩こりを見ていても、頭まで見た方が分かりやすいことがある。
面白いのは、お腹まで変わることがあることだ。
頭を少し触っただけなのに、臍の横の硬さがゆるむことがある。
腹直筋の緊張が抜ける。
胃の重さが変わる。
便通が楽になる人もいる。
頭を触っているのに腹が変わる。
変な話に聞こえるかもしれないが、身体はだいたい変である。
ただし、頭部第二は強く押せばいい場所ではない。
強く押すと、かえって頭が重くなったり、気分が悪くなることもある。
本当に軽く触れるくらいでいい。
呼吸を待つ。
身体が変わるのを待つ。
ここを押せば治る、という扱いをすると外す。
大事なのは、頭部第二を首こりのスイッチとして使うことではない。
首がなぜ固まっているのかを見る入口として使うことだ。
原因は腕かもしれない。
胸かもしれない。
腹かもしれない。
足首かもしれない。
頭かもしれない。
首は、結果として固まっていることが多い。
だから首だけ責めても、なかなか抜けない。
人間の身体は、首だけで生きているわけではない。
当たり前の話だが、なぜか痛いところが出ると忘れやすい。
桑谷整体では、首こりや肩こりを見る時、首だけを追いかけない。
頭、目、胸、腕、腹、骨盤まで含めて見る。
頭部第二も、その中のひとつの入口である。
首をいくらほぐしても変わらない人は、首以外から見直した方がいいことがある。
頭を少し整えるだけで、首の力が抜ける。
そういうことは、普通にある。
整体は、痛い場所だけを触るものではない。
身体全体のつながりの中で、どこから変えるかを見るものだと思っている。