八種は優しさを寸胴で煮込む

患者様からおでんをいただいた。

大層作ったそうで、「疲れが出たのでみて欲しい」と。

いつもお身体を見させていただいているのだが、疲労の度合いが段違いだった。

『そんなにたくさん作ったんですか?』と聞くと、

「みんなが美味しい美味しいって言うから、大きい寸胴にいっぱい作った!」

おでんは寸胴で作るものなんだと初めて知った。

そこはさすが捻れ体癖八種。褒められれば褒められるほど、どんどんやってしまう。

 

八種体癖は、奉仕やボランティアを是とするところがある。

実家が小料理屋をしていた頃、場末を歩いてきたような男性が「何か食べるものが欲しい」と言ってきたことがある。

すると、八種の権化みたいなうちのばーさんが、ラーメン丼にご飯を山盛りにしておかずを乗せ、ラーメン二郎よろしく提供した。

「ご馳走様でした」と男が去って姿が見えなくなったその刹那、ばーさんは外で丼を思いきり割った。

『何してるんだ?!』と聞くと、

「もうあの丼はいらん!」と、筋が通ってるようで通ってないチグハグなことを言う。

子どもの頃に喧嘩して帰ると、「勝ったのか負けたのか?」と聞かれる。

『負けた』と言うと、

「勝つまで帰ってくるな!」という始末だ。

仁義があり、女侠客みたいな人だった。

 

ともあれ。

百戦錬磨で作られたおでんは、味付けも煮方も見事で、たいへん美味しくいただいた。

ただ、寸胴いっぱいの優しさは、身体にはちゃんと請求書が回ってくる。

温まった分、うちで出来る最高のお返しをしておこうと思う。

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