忘れっぽい、物をよくなくす、さっき聞いたことが抜ける。
そういうことが続くと、頭の問題だと思いやすい。
年齢のせいかもしれない、脳が疲れているのかもしれない、集中力がないのかもしれない。
もちろん、そういう見方が必要なこともある。
ただ、何でもかんでも頭のせいにするのは雑だと思う。
忘れっぽさは、身体の状態として出ていることもあるからだ。
整体では、忘れっぽさを頭の中だけの問題として見ない。
からだ全体の締まりがない時、注意は散りやすい。
呼吸が浅い時、頭はまとまりにくい。
骨盤が開き気味で、全身がゆるみすぎている時には、物事がしっかり入らなくなることがある。
だから、忘れっぽいというより、最初からきちんと受け取れていない。
そう見た方が近いことが少なくない。
骨盤が開くというと、骨が大きくずれるような話だと思われやすい。
でも整体で見ているのは、そういう単純な話だけではない。
身体がゆるむ、締まりがなくなる、重心が下がりきらない、気が散る、眠気が出る。
そういった全体の状態として見ている。
締まっている時の身体は、案外よく覚えている。
反対に、開いてぼやけている時の身体は、入ったつもりでも抜けていく。
しかも、人は重要だと思っていないものを覚えない。
いや、正確には、身体が重要だと受け取っていないものは残りにくい。
頭では「大事です」と言っていても、腹の底ではそう思っていないことがある。
気が進まない予定、義務感だけでやっていること、心が乗っていない話。
こういうものは、驚くほど抜ける。
だから忘れっぽさには、身体の締まりの問題と、その人の中での重みづけの問題と、両方が絡んでいる。
産後の方を見ていても、これはよく感じる。
産後は骨盤が大きく動いたあとで、身体全体がまだ落ち着ききっていない。
しかも睡眠不足になりやすく、授乳や抱っこで呼吸も浅くなりやすい。
自分のことより、子どものことを優先し続けるから、気も外に向きっぱなしになりやすい。
そういう時期には、忘れっぽさや抜けやすさが出てもおかしくない。
実際、産後に「最近、頭が回らないんです」「物を置いた場所をよく忘れます」と感じる方は少なくない。
これを全部、気合い不足や性格のせいにするのは無理がある。
身体がまだ締まりきっていない。
眠りも浅い。
呼吸も乱れやすい。
その中で、常に子ども中心で動いている。
忘れっぽさが出やすい条件は、むしろ揃っている。
だから産後の忘れっぽさも、頭の問題だけで終わらせない方がいい。
骨盤まわりが落ち着いてくること。
呼吸が深くなること。
身体の締まりが少しずつ出てくること。
そうすると、頭の働きも少しずつまとまりやすくなる。
もちろん、産後の不調を何でも骨盤だけで説明するつもりはない。
ただ、少なくとも、忘れっぽさを気持ちの問題だけにしてしまうのは違うと思う。
忘れっぽさは、単に頭が悪いという話ではない。
身体がゆるみすぎているのかもしれない。
呼吸が浅くなっているのかもしれない。
骨盤の締まりがなくなっているのかもしれない。
あるいは、身体がそれを重要だと受け取れていないのかもしれない。
整体は、そういう全体から見ていく。
忘れっぽさ一つ取っても、頭だけを責めるより、身体の状態を見直した方が早いことがある。