最近はありがたいことに、予約が続く日が多い。
途中で『ほっと一息』なんてことが、不可能な場合もある。
とはいえ、仕事として施術を行っている以上、疲れを表に出すわけにはいかない。
こちらの身体が濁れば、手も濁る。
そんな時に助けになるのが、脊椎行気だ。
普段、何気ない時から行っていれば、施術中にもできるようになる。
むしろ、手が離せないので、そうせざるを得ない。
気合いで耐えるより、背骨に呼吸を通す。
やり方は簡単だ。
頭の先から背骨へ呼吸を通し、腰、骨盤まで下ろしていく。
通りにくいところがあれば、そこが固まっている。
そこに、呼吸が通るまで呼吸を通す。
吐く息は意識しない。
なぜそれが良いのかは、最初から分からなくてもいい。
まず、背骨で呼吸をする。
その後どうなるかを、先に考えない。
効果を求めすぎると、呼吸は背骨ではなく頭へ行く。
それでは行気にならない。
固まって悪くなっているところに呼吸が通ると、『ボキッ』と音が鳴って、背骨に動きが出てくることがある。
もちろん、鳴らそうとして鳴らすものではない。
無理に捻ったり、背骨を動かそうとする必要もない。
呼吸が通った結果として、勝手に動くことがある。
そこを間違えると、ただの背骨鳴らしになる。
通りにくかった場所に呼吸が通ってくると、その骨のあたりがじんわり汗ばむことがある。
身体の奥に、少し熱が出てくるような感じだ。
その感覚が出てくると、背骨がただの骨ではなくなる。
身体の中心にある、一本の道のように感じられてくる。
背骨に一本筋が通ってくると、人としての筋も通ってくる。
これは精神論ではない。
背骨が抜けている時、人はどうしても億劫になる。
疲れた。
面倒くさい。
後でいい。
そういうものに、身体が流されやすくなる。
背骨に呼吸が通り、腰や骨盤まで一本通ってくると、内側から少し立ち上がるものがある。
無理に気合いを入れるのではない。
勝手に、やる気が湧いてくる。
背骨の弾力が出てくると、身体の余分な偏りも変わってくる。
太り過ぎている人は、いらないものを捨てやすくなることがある。
痩せ過ぎている人は、吸収する力が働きやすくなることがある。
ただ痩せる、ただ太るという話ではない。
背骨に筋が通る。
身体が、その人の方向へ向かい始める。