野口晴哉は、首相をはじめ、政財界の要人も観ていたと伝えられている。
その野口先生が、田中角栄に、
「まずは性格を治してから来い。」
と言ったという逸話がある。
本当にその通りに言ったのか、その場にいたわけではないので分からない。
よほど嫌いだったのか、何があったのかは知らないが、いかにも野口先生らしい話ではある。
先日、熱血な捻れ型の方が、
「先生! 西洋医学はおかしくないか? 血圧が高いからって、下げる薬を出しても駄目だろう!」
とおっしゃった。
おっしゃることは、よく分かる。
もちろん、薬が悪いという話ではない。
病的な高血圧であれば、必要な診断や治療を受けた方がいい。
ただ、数字を下げることと、なぜその数字になったのかを観ることは別だ。
すると熱血が、
「整体を受けても治りが悪い人とは、どういった人だ?」
と聞いてきた。
僕は、
『根性が悪い人でしょうね。』
と答えた。
それを聞いた熱血は、周りにいる人を指さしながら、
「あの人の根性はどうだ? この人はどうだ?」
と始めた。
これには少し閉口した。
『うちにいらっしゃる方で、そんな人はいませんよ。』
と返しておいた。
単に性格の話ではない。
身体の使い方。
毎日の習慣。
物事の受け止め方。
分かっていても変えない頑固さ。
そういうものが、身体には残る。
生活習慣病も同じだ。
必要な薬やインスリンは使えばいい。
ただ、変えた方がいいと分かっている生活まで、薬が代わりに変えてくれるわけではない。
食べ方。
身体の動かし方。
酒の量。
眠り方。
そこは薬では変わらない。
根性が悪い人がいないと言うのは、嘘ではない。
本当に根性の悪い方は、自然と来なくなるか、こちらからお断りするようにしている。
相性が悪いままでは、施術もあまり良いものにならない。
もっとも、根性だけを玄関に置いて、身体だけ施術室へ入ることはできない。
身体と根性は、別々にあるわけではない。
身体が変わると、以前なら腹を立てていたことが、少し気にならなくなる。
億劫だったことにも、身体が向くようになる。
身体と根性は、案外、同じところにあるのかもしれない。