桑谷土建

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最近では、いらした方へ体癖やタイプ別に、ご自身でもバランスを取れるような体操をお教えしている。

ただし、それは誰にでも最初からお伝えしているわけではない。

対象になるのは、ある程度、身体が調整レベルに入ってきた方だ。

 

身体がまだ悪い状態のまま体操をお教えしても、どれくらい行えばいいのか、ご自身では判断しにくい。

それに、身体の感覚が鈍っている時は、そもそも正確にその体操を行うことが難しい。

形だけ真似しても、身体の中で必要な場所に届かない。

そうなると、せっかくの体操も働きにくい。

 

整体には、いくつかの関わり方があると思っている。

何もしない。

誘導する。

調整する。

整体指導をする。

矯正する。

そして、もう一つ。

土建である。

 

・何もしない

整体には、何もしない方がいい時がある。

これは手を抜くという意味ではない。

身体が自分で動き始めている時に、こちらが余計な手を出すと、その動きを邪魔してしまうことがある。

触るより、待つ。

変えるより、邪魔をしない。

何もしないというのは、意外に難しい。

施術者の不安が強いほど、何かをしたくなるからだ。

 

・誘導

誘導は、こちらが身体を作るのではなく、身体が向かおうとしている方向を少し助けるものだ。

硬いところを無理に動かすのではない。

動きたがっている場所に、少し道をつける。

身体は、こちらが思っているより自分で分かっている。

その働きを邪魔せず、少しだけ流れをつける。

誘導とは、そういう施術だと思っている。

 

・調整

調整とは、文字通り、身体を調律するような施術だ。

ピアノやギターのチューニングに近い。

大きく壊れているわけではない。

けれど、少し音がずれている。

身体の感覚もある程度あり、自分の良い悪いも捉えられる。

 

そういう方には、施術で整えるだけではなく、ご自身でも調整できるように体操をお教えする。

体癖やタイプに合わせて、日常の中でバランスを取りやすくする。

ここまで来ると、身体はかなり頼もしい。

こちらが全部管理しなくても、ご自身の身体で気づき、整える方向へ向かえるからだ。

 

・整体指導

整体指導は、日常生活の中で身体を崩しすぎないためのものだ。

食べ過ぎ。

冷え。

ストレス。

寝過ぎ。

季節の変化。

そういったものは、誰にでもある。

問題は、それに振り回されっぱなしになることだ。

 

身体がある程度整ってくると、日常のちょっとした崩れに気づきやすくなる。

食べ過ぎた時の胃の重さ。

冷えた時の腰の鈍さ。

ストレスがかかった時の呼吸の浅さ。

そうした変化を、自分で感じ取れるようになってくる。

 

そこで、体操や生活上の工夫をお伝えする。

こちらが一方的に正解を押しつけるというより、その方が自分の身体を扱いやすくするための指導だ。

整体指導とは、自分の身体に対する感覚を育てるものだと思っている。

 

・矯正

矯正は、錆びついて動かなくなった部分に動きをつける作業だ。

身体が鈍っている時は、自分の良い悪いが分からなくなる。

これは非常にまずい。

 

極端な例で言えば、真夏に暖房をつけていても気がつかないような状態だ。

さすがにそこまでの方は少ないと思いたい。

思いたいが、近い方は意外に多い。

 

春に筍を食べ続けて、胃の調子が悪くなっているのに気がつかない。

身体にそこまで必要がないのに、テレビで「毎日水を2リットル飲むと良い」と聞いて、必要以上に水を飲み続けている。

本当は身体が嫌がっているのに、頭で覚えた健康法を優先してしまう。

こうなると、身体ではなく情報に従っている。

 

身体が良い方向に向かえば、そういうことはご自身で判断できるようになる。

今は食べたくない。

今日は冷えている。

これは身体に合っていない。

そういう感覚が働き始める。

矯正とは、その感覚を取り戻すために、動かなくなった場所へ動きをつける作業でもある。

 

・土建

そして、もう一つ。

私の中で勝手に呼んでいるものがある。

土建である。

 

何もしないでもない。

誘導でもない。

調整でもない。

整体指導でもない。

矯正だけでも足りない。

そういう身体がある。

 

一度作り上がった身体の癖が、あまりにも固まりすぎている。

生活も、食べ方も、呼吸も、姿勢も、感覚も、荒れた土地のようになっている。

そこに小さな体操を一つ置いても、なかなか根づかない。

土台そのものが崩れているからだ。

 

そういう時は、少し整えるというより、土台から組み直すような施術になる。

固まったものに動きをつける。

滞っていたものを動かす。

溜め込みすぎたものが外へ出られるようにする。

壊すために壊すのではない。

作り直すために、いらない固まりをほどいていく。

 

破壊と創造。

まるでシヴァ神である。

となれば、うちの妻はパールヴァティーか。

怒りの具合で言えば、そうとも言える。

 

冗談はさておき、土建作業のような施術になると、施術後に身体が大きく反応する方もいる。

もちろん、全員がそうなるわけではない。

むしろ、普通はそこまで大きく出ない。

ただ、普段の生活が荒れに荒れている方は、身体が一気に帳尻を合わせようとすることがある。

 

かなり極端な例だが、翌日に発熱や吐き下しのような反応が出た方もおられた。

これは脅かしたいわけではない。

そういう方は、身体の中に溜め込んでいたものが、それだけ多かったということでもある。

毎日が小さなフードファイトのようになっていれば、身体もどこかで帳尻を合わせようとする。

身体は、思ったより律儀だ。

持ち主より真面目なことがある。

 

体操をお教えすることはできる。

生活のアドバイスもできる。

けれど、身体がまだ自分の状態を感じられない時は、体操より先に土台を作る必要がある。

 

何もしない方がいい身体。

誘導で動き始める身体。

調整で済む身体。

整体指導で変わる身体。

矯正が必要な身体。

そして、土建から始める身体。

どれが偉いわけでもない。

今、その身体がどの段階にいるのか。

そこを間違えないように観たい。

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