秋の眩暈

「めまいがするので見てほしい」

と来られた。

秋になると、夏に開いていた身体が少しずつ引き締まってくる。
野口整体では、季節と一緒に身体も変わると考える。

ただ、その切り替わりにうまくついていけない人もいる。

今回の方も、もともと身体の引き締まりが強い方ではない。
それに、血圧の薬を飲んでいる。

最初に思ったのは、

『血圧が下がりすぎているんじゃないか』

ということだった。

降圧薬を飲んでいて血圧が下がりすぎれば、めまいやふらつきが出ることはある。

薬の調整はもちろん主治医の領域だが、整体的に身体を観ていると、引き締まりの少ない人は、少し高めの血圧で身体を支えているように見えることがある。

血圧は低ければ低いほどいい。
そんな単純な話でもないのかもしれない。

 

まず、塩気のある熱い湯を飲んでもらった。

簡単なことだが、それだけでも身体に少し引き締まりが出ることがある。

一般論でいえば、血圧が高い人に塩を勧めるなんて、とんでもないと思われるかもしれない。

ただ、塩分まで悪者にして極端に避けた結果、身体の調子を崩しているように見える人もいる。

塩が悪い、血圧が高いのも悪い。

そうやって何でも悪者にしてしまうのも、少し考えものだと思う。

 

そこから頭から足まで、胆経にあたる身体の側面を緩め、そのあと左の骨盤を締める。

緩めているのに、締める。

少し矛盾しているようだが、外側の緊張を緩めることで、本来締まるところは締まりやすくなる。

最後に頸椎7番の動きをつけた。

頸椎7番は、血圧の調整を観る時にもよく使う。

頸椎7番が上へ押し上がるような状態になると、その上の6番にも影響が出るように感じることがある。

頸椎6番は、めまいや耳の症状がある時にも気になる場所だ。

今回もそこを含めて首の動きをつけ、自分でも動かせる体操をお伝えした。

 

来られた時は、この世の終わりのような暗さだった。

施術と体操の説明が終わる頃には、その暗さはかなり抜けていた。
その後、めまいも良くなっているようだ。

秋は身体が締まる。

ただ、締まりたくても締まれない身体もある。

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