頭痛がする。腰が痛い。
そんな訴えで来られた方でも、詳しく身体を観ていくと、人間関係のストレスが大きく影響しているのではないかと思うことがある。
身体を整えることで、頭や腰の負担が軽くなることはある。しかし、同じ人間関係の中で、同じように相手の言葉や態度を抱え込んでいれば、また同じところが固くなってくる。
それだけでは、対症療法で終わってしまうことも少なくない。
本当は、そのストレスそのものがなくなればいい。
しかし、それが一番難しい。
『あの人が……』
『この人が……』
と言っているうちは、その人がいなくなっても、今度は別の誰かが現れる。登場人物が変わるだけで、身体はまた同じように疲れてしまう。
そんな時、僕はよく、
『相手を宇宙人だと思うといいですよ。』
と話す。
野口整体には、体癖という、身体の個性を十二種類に分けて観る考え方がある。
もちろん、人間を十二個の箱へきっちり分けられるわけではない。それでも、この考え方を知ってから、僕は人を見るのがずいぶん楽になった。
嫌なことがあった時、頭へ力が集まる人もいる。肩や首を固める人もいれば、腹や腰へ負担をためる人もいる。
同じ出来事が起きても、気にするところも、受け止め方も、身体に出る反応も同じではない。
『人間とは、こんなにも違うものなのか。』
そう思えたからだ。
僕が身体を観ていると、ストレスを受けやすい人は、身体が膨張し、開きすぎていることがある。
身体が開いていること自体は、悪いことではない。いいことも悪いことも、心身の中へ取り入れることができる。
問題は、開きすぎていることだ。
施術では、後頭骨、肩甲骨、骨盤と、開きすぎているところを締めていく。
何もかもを無防備に取り込むのではなく、必要なものを、必要な分だけ取り入れられる身体にする。
ストレスも、食物もだ。
開けば開くほど、優しくなるわけではない。何もかもを受け入れていれば、こちらの身体がもたない。
閉じて拒絶するのでもなく、開いて抱え込むのでもない。必要なものだけを通せばいい。
海で生きるものもいる。空を飛ぶものもいる。陸を歩くものもいる。
陸にいる生き物からすれば、『なんで空を飛ぶんだ?』『なんで水の中へ潜るんだ?』と思うかもしれない。
しかし、飛ぶ方にも、潜る方にも、それなりの都合がある。
人も似たようなものだと思う。
同じ日本語を話している。同じ職場にいる。同じ家に住んでいる。だから、ある程度は話が通じるはずだと思ってしまう。
しかし、相手は宇宙人である。
こちらが当然だと思っていることを、当然だとは思っていない。こちらが大切にしていることに、何の興味もない。
逆に、こちらにはどうでもいいことへ、命を懸けていることもある。
理解できたらラッキー。
そのくらいの心持ちでいた方が楽だと思う。長年一緒に暮らしている夫婦ですら、お互いを完全に理解することは難しい。ましてや他人なら、なおさらだ。
人は、理解できないことだけで疲れるのではない。
『理解できるはずだ。』
『普通はこうするはずだ。』
そう思うことで疲れる。
『アイツはおかしい。』
『変えてやろう。』
そう思い始めると、相手が変わるより先に、こちらの頭や首、腰や腹が固くなってくる。
他人に影響を与えることはできる。しかし、こちらの都合のいい人間へ変えることはできない。
そもそも、相手は地球人ですらないのだ。
アイツは宇宙人。
宇宙人を地球人に矯正するより、こちらの身体を締めた方が話は早い。
関連ページ
人間関係の負担が、頭や首、腰の固さとして現れているように感じる方は、こちらのページも参考にしてください。