「だりぃ、疲れた、ムカつく、キレる」
ヤンキーたちが言いそうなセリフである。
だが、整体的に観ると、これがなかなか興味深い。
だるさは腎の疲れ、疲労感は背骨の歪みや一側の硬さ、ムカつきは胃の不調、キレやすさは肝臓の負担と関係すると観ることがある。
つまり、身体の具合が悪いのだ。
本人たちは威勢よく言っているつもりかもしれないが、こちらからすれば、随分と熱心に体調不良を訴えているようにも聞こえる。
なぜこんな話をするのかというと、かつて自分自身がそうだったからである。
当時は『池袋ウエストゲートパーク』に夢中で、キングに憧れていた。
白いベロアのジャージを身に纏い、街を闊歩していた。車にはウーファーを積み、車体の下には青いネオンまで光らせていた。
その一方で、マコトの影響もあって、車の中ではひっそりとクラシックも聴いていた。
しかも、IWGPが好きすぎて、石田衣良の原作小説まで随分と読み込んだ。
不良に憧れるために、せっせと読書に励んでいたのである。
何とも真面目な不良だ。
今思えば、頭がどうかしていたのであろう。
もっとも、今でも長瀬智也はかっこいいと思う。今見ても、実に漢である。
そんなわけで、当時の周りの連中も似たようなものだった。
夜更かしをして、質の悪いものを食べたり飲んだり、酒を飲みすぎたりする。寒いというのに、それをものともせず、平気な格好で夜の街へ繰り出す。
そんな生活をしていれば、身体の調子が悪くなるのも不思議ではない。
そういえば、ヤンキーというのはよく座っている。
立っているのもだるいのだろう。
うんこ座りならまだいいが、しまいには地べたに座り込んでしまう。
そんなところに座っていれば、当然身体は冷えてくる。整体では、こうした下半身の冷えを腎の疲れと関連づけて観る。
地べたに座る。冷える。腎が疲れる。そして「だりぃ」。
何とも見事な方程式である。
さらに、あの独特なガニ股歩きも気になる。
整体では、骨盤が開くことで足が外に向きやすくなると観ることがある。
本人たちは威圧感を出しているつもりでも、実は骨盤の状態が関係していたのかもしれない。
ただ、最近は逆のことも考える。
そういった生活をしているから身体が悪くなる。だが、そもそも身体の具合が悪かったから、子供の頃から周囲についていけず、そんな生活に向かってしまったのではないだろうか。
周りについていこうと無理をする。しかし、身体がついてこない。
そのため、酒やタバコ、コーヒーといった刺激物でも大量に摂取しなければ、日々の生活に耐えられなかったのかもしれない。
そして、刺激に頼る生活を続けるうちに、ますます身体の感覚が鈍くなっていく。
そうなると、普通の刺激では物足りなくなる。
音楽は大音量、服装は派手に、言葉も態度も大げさになる。しまいには、悪いことでもしなければ発散できなくなる。
身体が悪いから刺激を求め、刺激を求めるからさらに身体が悪くなる。
何とも救いようのない悪循環である。
今の時代、ヤンキーやチーマー、Bボーイなどと言っても、随分と時代錯誤なようで、最近ではトー横やグリ下などの「界隈」と呼ばれる若者たちがいるらしい。
ただ、こうした身体の状態は、何もヤンキーに限った話ではない。
大人になって、まともな格好をしていても、酒やタバコ、コーヒー、モンスターなどの刺激物に頼りながら、何とか日々を過ごしている人も少なくない。