忍者がよくやる、アレだ。
手で印を結び、『臨兵闘者皆陣列在前』と唱える。いわゆる九字護身法というやつである。
不思議なことに、このような印を結ぶことで、力の出方が変わってくる。
もちろん、僕が使っているものは九字護身法と全く同じではない。使う印は三つで、分かりやすく言えば、波状、衝撃、螺旋といった異なる刺激を生み出す。
そして、これを解除するにはグーチョキパーをするといい。
おや? とうとう桑谷整体もスピリチュアル系になったのか?
と、ご心配の方もおられるかもしれないが、あまりスピリチュアル的なものを信じていない。
だが、印を結ぶとなぜ力が出てくるのか、自分なりに研究してみた。
これを検証するために、幾度となく印を試し、弟子を何度もど突いた。
もちろん、ど突くだけではない。その刺激がどのようなものなのか、自分自身も受けてみた。
それぞれの印で刺激の伝わり方が違うように感じるのだが、その理由までは結局わからなかった。
世の中には他にも、寅の印など様々なものがある。
形だけ見れば大したことをしているわけではないのだが、不思議と力が湧き、身体に軸が出てくる。
何とも不思議なシステムである。
こうした印は、昔から武道の世界でも使われていたらしい。
ただ、施術のたびにいちいち印を結んでいるわけにもいかない。そんなことをしていたら、施術より印を結んでいる時間の方が長くなってしまう。
そこで思い出したのが、『HUNTER×HUNTER』に登場するクラピカの修行である。
彼は鎖を具現化するために、四六時中、本物の鎖を触り続けた。重みや手触り、冷たさまで身体に覚え込ませ、目を閉じてもその感覚を思い描けるようにする。
これと似たことをした。
実際に印を結び、そのときの身体の感覚を何度も確かめる。そして、その感覚を覚え込ませ、印を結ばなくても再現できるようにした。
いわゆる具現化である。
そうすることで、施術中にわざわざ手を止めて印を結ぶ必要もなくなった。
波状、衝撃、螺旋。それぞれの刺激を、身体の状態や調整する場所に応じて使い分けるようにしたのだ。
こうした身体の使い方を覚えると、力任せに押さなくても刺激を入れることができる。施術も随分と楽になるし、何より疲れない。
普段から握力に頼らず施術していることも関係しているのかもしれない。
実際のところ、僕の握力は20kgちょっとしかない。
患者さんにこの話をすると驚かれるのだが、握力を測定した僕自身が一番びっくりした。