施術をしていると、体癖という言葉を使うことがある。
すると、たまに聞かれる。
『先生、その体癖って何なんですか?』
『性格占いみたいなものですか?』
たしかに、初めて聞くと怪しい。
何種です、あなたはこういう人です、と言われたら、もう占いか何かに見える。人間は分類されるとすぐ信じたり怒ったりする。忙しい生き物だ。
ただ、体癖は性格占いではない。
その人の身体が、どう偏り、どう動き、どう疲れ、どう回復しようとしているのかを見るためのものだ。
性格に見えるものも、元をたどれば身体の使い方から出ていることがある。
すぐ動く人がいる。
動く前に考える人がいる。
人に合わせすぎて疲れる人がいる。
一人にならないと回復しない人がいる。
それをただ性格で片づけるのは、少し浅い。
身体には、その人なりのバランスの取り方がある。
立ち方。
座り方。
歩き方。
呼吸の入り方。
力の抜け方。
疲れが出る場所。
そういうものを見ていくと、その人がどういう方向で身体を使っているのかが見えてくる。
それを整理したものが、体癖だと思ってもらうと分かりやすい。
体癖は、良い悪いを決めるものではない
体癖の話をすると、『私は何種ですか?』と聞かれることがある。
それ自体は悪くない。
ただ、体癖はラベルを貼るためのものではない。
『私は9種だからこうです』
『あの人は5種だからこうです』
そうやって決めつけるために使い始めると、だいたい外す。
身体はそんなに単純ではない。
その時の疲れ方でも変わる。
年齢でも変わる。
環境でも変わる。
出産や病気、仕事の負担でも変わる。
だから、体癖はその人を決めつけるためのものではなく、今その人がどういう偏りで頑張っているのかを見るためのものだ。
体癖は大きく分けると6つある
体癖は細かく見ると12種類に分かれる。
ただ、いきなり12種類を覚えようとすると面倒になる。こういう時、人間は覚える前に嫌になる。とても正直である。
なので、まずは大きく6つの型として見ると分かりやすい。
上下型 1種・2種
上下型は、上と下の動きでバランスを取る。
頭に気が上がりやすい。
考え始めると集中する。
その反面、頭が休まりにくい。
足が冷える人もいるし、のぼせる人もいる。
仕事や勉強には強いが、切り替えが下手なことがある。
身体としては、上に集まりすぎたものをどう下ろすかが大事になる。
左右型 3種・4種
左右型は、右と左、人との距離感、空気の変化に反応しやすい。
人の気分をよく拾う。
その場の空気に合わせる。
気配りもできる。
ただ、その分、自分より相手を優先しすぎることがある。
肩こりも左右差として出やすい。
右だけつらい。
左だけ重い。
片側だけ張る。
そういう形で出ることがある。
前後型 5種・6種
前後型は、前に出るか、後ろへ引くかでバランスを取る。
5種は行動が早い。
前に出る力がある。
呼吸器も強く、動き出すと速い。
逆に6種は、内側に引く。
呼吸器が繊細で、季節や空気の影響を受けやすい。
外へ出るより、内側で感じる力が強い。
どちらも、腰や背中、胃腸に負担が出やすい。
前に出すぎても崩れるし、引きすぎても固まる。
前後型は、その加減が大事になる。
捻れ型 7種・8種
捻れ型は、ねじる動きでバランスを取る。
負けたくない。
筋を通したい。
納得できないことには反発する。
そういう強さが出やすい。
7種は外へ出やすく、8種は内側に抱え込みやすい。
捻れ型は、頑張れる。
ただ、頑張りすぎる。
褒められるとさらにやる。
頼られると限界を越える。
その結果、背中や肋骨、腰まわりに負担が出ることがある。
本人は平気な顔をしていても、身体にはちゃんと請求書が回ってくる。
開閉型 9種・10種
開閉型は、開くか閉じるかでバランスを取る。
9種は閉じる力が強い。
集中する。
絞る。
ひとつのことを深く見ていく。
ただ、合わないものには本当に閉じる。
人に会いたくない時は、かなり会いたくない。
10種は開く力が強い。
人を受け入れる。
育てる。
場を大きく包む。
ただ、開きすぎると疲れる。
開閉型は、骨盤や胸まわりの開き閉じに特徴が出やすい。
呼吸の浅さや、骨盤まわりの不調にもつながることがある。
遅速型 11種・12種
遅速型は、スピードの違いでバランスを取る。
自分のペースがある。
急かされると崩れる。
逆に、波に乗るとかなり動ける。
周りに合わせることが続くと、身体の方が先に嫌がる。
遅いから悪いわけではない。
速いから良いわけでもない。
その人の速度がある。
その速度を無視すると、身体はだいたいおかしくなる。
ひとり1種類で決まるわけではない
体癖は、ひとり1種類で綺麗に決まるものではない。
メインに出ているものがある。
裏に隠れているものがある。
疲れた時だけ出るものもある。
若い頃と今で変わって見えることもある。
だから、『私は何種ですか?』という問いに対しても、簡単に一言では言えないことが多い。
むしろ、一言で決めたくなった時点で少し危ない。
分類は便利だが、便利すぎるものは人を雑にする。
体癖を知る意味
体癖を知る意味は、自分を型にはめることではない。
自分がどこで無理をしやすいかを知ることだ。
なぜ同じ場所が痛くなるのか。
なぜ同じようなことで疲れるのか。
なぜ人より動けるのに、急に落ちるのか。
なぜ休んでいるのに休まらないのか。
そこを見ていくための手がかりになる。
体癖が分かると、自分を責める材料が少し減る。
『自分はだめだ』ではなく、『この偏りが出ているな』と見られるようになる。
それだけでも、身体の扱い方は変わる。
桑谷整体での体癖の使い方
桑谷整体では、体癖を当てることを目的にはしていない。
9種です。
5種です。
あなたはこういう人です。
そんなふうにラベルを貼るために使うものではない。
立ち方を見る。
座り方を見る。
歩き方を見る。
呼吸を見る。
骨盤と背骨を見る。
触れた時の反応を見る。
その中で、この人はどの方向でバランスを取ろうとしているのかを見る。
そこから、どこを優先して整えるかを決めていく。
同じ腰痛でも、同じ肩こりでも、体癖が違えば出方も違う。
だから、施術も同じにはならない。
体癖は、自分の身体を知る入口である
体癖は、知れば知るほど深くなる。
ただ、最初から難しく考える必要はない。
自分はどういう時に無理をするのか。
どこに負担が出やすいのか。
どういう時に楽になるのか。
その入口として使えれば十分だ。
体癖は、性格を決めるためのものではない。
人を分類して終わるためのものでもない。
身体の偏りを知り、その人がどう生きているのかを観るための見方だ。
施術の時に気になる方は、『自分はどの体癖っぽいですか?』と聞いてもらえればいい。
ただし、占いの答え合わせみたいにはならない。
身体を見ながら、その人に必要な範囲で話す。
体癖は、決めつけるためではなく、自分の身体と少しうまく付き合うために使うものだと思っている。