最近、「風邪を引いた。」という相談が多い。
身体を観て、『右側の風邪ですね。』と言うと
「何が?」と聞かれる。
それはそうだ。
整体では、身体を前後、左右、上下などに分けて観ることがある。
最近は、その中でも右側に偏って風邪を引いているように見える方が多い。
僕は右側を、副交感神経の働きと重ねて観ることが多い。
夏の身体は、本来もう少し弛んでいていい。
暑くなると骨盤や肩甲骨も開き、身体全体が弛む方向へ動いていく。
ところが最近は、夏なのに身体へ緊張を残したままの方が多い。
身体は弛みたい。
しかし、弛めない。
その帳尻を合わせるように、風邪を引いているのではないかと思う。
野口晴哉は、風邪を単なる悪者とは考えなかった。
身体に偏った疲れが溜まった時、それを調整するために風邪を引く。風邪は「治す」というより、うまく「経過する」ものとして観る。
そう考えると、
「私はもう何年も風邪を引いていない。」
というのも、僕にはそれほど自慢には聞こえない。
完全に健康で、風邪を必要としていないのなら、それは結構なことだ。
しかし僕が身体を観ていると、風邪を引かないのではなく、風邪すら引けないほど身体が鈍くなっているように感じる方もいる。
熱も出ない。汗も出ない。
大きく崩れもしない代わりに、何となく調子が悪い状態がずっと続いている。
風邪を引くなら、一時的に思い切り引いた方がいい。
ダラダラと長引くのは、整体ではあまり良い経過とは観ない。
出ようとしている熱を無理に邪魔せず、身体が一気に経過できるようにする。
僕は、そんな時に足湯を勧めることがある。
少し熱めのお湯に足を浸け、身体を温める。
盆の窪に蒸しタオルを当てることもある。
温かい汁物や、生姜などが入った熱いものを摂るのもいい。
外から無理に汗を出すというより、身体の内側から温まり、自然と汗が出てくる状態へ持っていく。
風邪として経過できなかった偏りが、別の不調として表に出てくることもあるのではないかと思う。
身体は、何とかして余分なものを始末しようとする。
そして、風邪をうまく経過した後というのは面白い。
まるで脱皮をしたように、身体が妙に軽い。
風邪を引く前よりも、生まれ変わったような爽快感がある。
野口晴哉が風邪を身体の調整として観たのも、こういうところなのだと思う。
だから、風邪を避けることばかりが健康だとは思わない。
風邪を引かない身体より、風邪をうまく引ける身体の方が、僕には健全に見える。
風邪くらい、ちゃんと引ける身体でいたい。
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