河村さん

久しぶりの連休ということで、焼肉きんぐへお邪魔した。

ご存知の方も多いと思うが、食べ放題の焼肉屋である。

僕も食べ放題の焼肉屋や飲食店で働いたことがあるので、肉そのものに過度な期待はしていない。

ただ、飽きないようにメニューをコロコロ変えてくるあたりは、さすがチェーン店だと思う。

 

うちの奥さんも、もともとは飲食の人だった。

ラーメン屋の人気看板娘だったと言うと言い過ぎかもしれないが、まあ大体そんな感じだ。

観察力があったから人気があったのではないかと思う。

知らんけど。

 

そのせいか、二人で飲食店へ行くと、味だけでなくオペレーションや提供の仕方まで見てしまう。

たまに、『やるな』と思うホールの方がいる。

そういう人は、お客さんが口にしないことまでよく観ている。

多少待たされても、肉がまあまあでも、『来てよかったな』と思わせる。

今回も、そんな方がいた。

 

帰り際に話す機会があったので、名札を見て

『河村さん、あなたの接客は非常に素晴らしい』

と伝えた。

すると、

「私、実は河村じゃないんですよ〜。名札洗っちゃって。もしかしてアンケートに河村って書いていただきました?」

と惚けられた。

河村さんではなかった。

なるほど。

連休中に本部から応援に来ている方なのだろうと思った。

それであの動きなのかと、妙に納得した。

 

以前、気に入って通っていたラーメン屋があった。

味には多少ブレがあったが、それでもまた行こうと思える店だった。

店長の雰囲気や接客がよかったからだ。

新人のアルバイトが入った時などは、スープのブレがなかなか酷かった。

それでも、『店長も大変なのだな』と、半分推し活のような気持ちで通っていた。

ところが、その店長が別の店舗へ移ってしまった。

店の雰囲気も変わった。
味も、提供の丁寧さも、細かなところへの気づきも変わった。

そして、行かなくなった。

 

整体でも、観察力はかなり大事だと言われる。

表情や言葉にされたことだけを聞いていても足りない。

入ってきた時の雰囲気。
階段を上がる音。
座り方。
顔色。
いつもとの違い。

そういうものを観ている。

 

飲食でも整体でも、言われてから動いているようでは少し遅い。

流行る人は、たぶんよく観ている。

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