夏にお腹を下す

最近、「お腹を下した。」という話をよく聞く。

もう少し話を聞いてみると、食べ物に思い当たることがあるわけでもない。僕が身体を観ていると、寝ている間に身体を冷やしていることが、一つのきっかけになっているように見えることが多い。

夏だから暑い。当然、冷房をつけて寝る。布団も蹴る。そして気がつけば、脚が丸出しになっている。

腹を下しているのだから、お腹が冷えたと思うかもしれない。でも、僕は膝の内側から内腿も一緒に観る。

膝の内側には血海というツボがあり、さらに内腿を上がったところには足五里というツボがある。僕はこの辺りを、腹部の状態と合わせて観ることが多い。

お腹を下している方を観ていると、この膝の内側から内腿にかけて冷えていることがある。夏だからといって脚を冷やし続ければ、腹の調子まで崩しているように見えることがある。

逆に言えば、そういう時は温めればいい。

整体には昔から伝わる「膝湯」という、ありがたい方法がある。

足湯に少し似ているけれど、桑谷整体で行う膝湯は膝から下をまとめて温める。方法も難しくない。

浴槽に膝立ちするような姿勢になり、膝から下がお湯につかるくらいまで湯を張る。温度は、普段のお風呂より二〜三度ほど熱めにする。

ただ温めればいいというより、膝から下へ刺激を集めるような感じで行う。時間は五〜七分くらいを目安にしている。

腹を下したのに、腹ではなく膝を温める。なかなか変な話ではある。

でも身体は、お腹だけがお腹をやっているわけではない。脚も腹も背中も、全部つながって働いている。

少年少女なら、真夏に膝を出したまま一日過ごして、そのまま寝ても案外平気なのかもしれない。身体に勢いがあるうちは、多少冷やしても何とかしてしまう。

でも、中高年を過ぎたら話は別だ。夏だからといって、何でも出して寝ればいいというものでもない。

冷房を効かせて、脚を丸出しにして、汗ひとつかかないように眠る。それで翌朝、「なんでお腹を下したんだろう。」と言われても、身体としてはそれなりに理由があるのかもしれない。

若い頃と同じように寝る必要もない。少しくらい汗ばむくらいでいい。

夏に腹を守りたければ、膝を隠して寝る。

案外、そのくらいでちょうどいい。

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