甘いものを食べすぎると、右の腰が痛くなることがある。
そう言うと、甘いものと腰に何の関係があるのかと思われるかもしれない。
肝臓が位置するのは身体の右側なのだが、整体では、右の腰が痛む、右肩が凝りやすい、目が疲れやすいといった不調が重なると、肝臓の負担を考えることがある。
背骨でいうと、胸椎9番の三側と腰椎2番の右側。そして、右の骨盤が下がっていないかを観る。
これらの異常が重なったとき、肝臓に負担がかかっているのではないかと考え、腹部第5調律点を触って確認する。
もちろん、右の腰が痛いからといって、すべて肝臓が原因というわけではない。あくまで、整体ではこうした身体の変化を手掛かりに観ていく。
さて、肝臓というのは何とも働き者の臓器である。
お酒を飲めばアルコールを分解し、甘いものや栄養価の高いものを食べれば、その栄養の代謝にも関わる。薬やサプリメントも、成分によっては肝臓で処理される。
整体では、こうした贅沢なものの摂りすぎが、身体にどのように現れているのかも観ていく。
よく、病院で数値を測ってもらっても、肝臓に異常がないというお話をお聞きする。
以前、お酒を5合飲むという方がおられた。
よくよく話を聞いてみると、日本酒ではなく、ウイスキーを5合飲むという。
それも毎日だというから驚いた。
それでも肝臓の数値には異常がないというのだから、何とも肝臓さんは働き者なのだろう。
ただ、肝臓は沈黙の臓器とも言われる。数値が正常だからといって、いくら飲んでも大丈夫という話ではない。
中には「鉄の肝臓だから大丈夫だ」と豪語される方もおられる。
しかし、肝臓だけが丈夫であれば、ほかの臓器も何ともないというわけではない。
以前、そういった生活を続けていた常連さんで、胆嚢を摘出したという方がおられた。
胆嚢に異常があるかもしれず、あの耐え難い痛みに襲われることを心配して摘出を選んだのだと思う。
手術に至る事情はそれぞれあるのだろうが、気になったのは、それまでの生活を特に変えようとしていなかったことだ。
そんな心配のために取られてしまう胆嚢さんも、かわいそうではないか。
長いお付き合いのある方だったので、
『そんなに心配が多いのであれば、首から上も取ってしまえば、心配事がなくなって良いですよ』
と、実に親切なアドバイスをしたことがある。
身体に異常が現れたのであれば、その場所をどうにかするだけでなく、それまでの生活を振り返ってみてもいいのではないだろうか。
そもそも、身体の異常は、自分の生活を見直すきっかけにもなるのだから。
さて、整体の話に戻る。
胸椎9番の三側や腰椎2番の右側、そして右の骨盤を調整していくことで、身体の偏りが変わってくる。
整体では、こうした調整によって、身体が余分な負担を抱え込まず、多少の贅沢くらいはこなせる状態を目指す。
甘いものを一切食べるなという話ではないし、お酒を飲むこと自体が悪いとも思わない。
ただ、いくら身体を調整しても、好き勝手に詰め込んでいては、何とも仕方がない。
それと、お酒について思うことがある。
肝臓が元気なときには、お酒も美味しく感じられるのではないかと思っている。
ただ、お酒を酔うために飲むのか、味を楽しむために飲むのかでは、随分違うのではないだろうか。
味を楽しんでいれば、今日は美味しいとか、何となく美味しくないとか、そういった違いにも気づく。
ところが、酔うことが目的になってしまうと、味など二の次になってしまう。
毎日飲んでいるから今日も飲む。特別飲みたいわけでもないのに、時間になれば何となく飲み始める。
これでは、本当に飲みたいのか、ただ習慣になっているだけなのかもわからない。
甘いものにしても同じことだと思う。
食べたいから食べるのか、何となく口に運んでいるだけなのか。
良い状態と悪い状態の違いがわからなくなるほど身体が鈍感になってしまえば、欲しくもないものを次々と詰め込んでしまうのではないだろうか。