「水は一日に2リットル飲んだ方がいい」
そんな健康情報を見て、朝に1リットル、夜に1リットルの水を飲んでいるという方がおられた。
『本当か?!』
思わず聞き返してしまった。
以前にも、テレビでキノコが健康にいいと聞けば、食卓にキノコが並び、トマトがいいと言われれば、今度はトマトも加わる。
そんな具合に健康情報を取り入れているうちに、食卓が随分と豊かになってしまったという話を聞いたことがある。
体癖でいうと、こうした方には2種的な頭の使い方を感じることがある。
教わったことや、正しいとされることを大切にする。
それ自体は悪いことではないが、情報が増えるたびに、やることまで増えてしまう。
身体が必要としているかどうかよりも、教わったことを正しく実行する方が優先されているように見える。
健康になるために始めたことなのに、いつの間にか健康法を守ることが目的になってしまっている。
そもそも、水分補給というのは、2リットルという数字を達成するために行うものではない。
水を飲むことが目的なのではなく、身体に必要な水分を補うことが目的のはずだ。
乾いたスポンジにバケツいっぱいの水をぶっかけるような飲み方をして、一体何がしたいのだろうか。
朝晩にまとめて飲むよりも、日中にも少しずつ補えばいい。
野口整体では、秋から冬にかけて身体の乾きを重視する。
秋の乾きに対しては、温かい塩気のある汁物を少しずつ口にするという考え方もある。
もちろん、それを誰もが実行しなければならないという話ではない。
季節によっても、身体の状態によっても、必要なものは違うのだ。
健康情報を集めること自体は悪くない。
ただ、テレビでいいと言われたものを片っ端から取り入れていては、健康のために食べているのか、健康情報を消化するために食べているのかわからなくなる。
本来、世の中に溢れる健康情報よりも、まずは自分の身体からの情報を一番に拾うべきなのだ。
健康法のために身体があるわけではない。
身体は、テレビも見ていなければ、健康情報の流行も知らないのだから。